一次創作

プレゼント

 クリスマスイベントも無事に終わり、年末の慌ただしさが社内にも漂い始めたある日。夕凪未来は、休憩スペースに一足早く姿を現していた。手には、ラッピングされた小さな箱。 やがて、なつめが少し遅れてやってくる。「未来さん、お待たせしました――あれ…

初めての夜

 駅前のカフェで待ち合わせたのは、ちょうどお昼の12時。なつめが手を振ってくれるのが見えた瞬間、未来は自然に微笑んでいた。「こんにちは、なつめさん。今日はちょっと風が強いですね」「こんにちは、未来さんっ。……でも、寒くはないから、春らしい感…

ファーストキス

 付き合ってから三回目のデートは、映画とカフェ、そしてただ並んで歩くだけの、ゆるやかな一日だった。特別なサプライズがあったわけじゃない。ただ一緒に笑って、映画の感想を言い合って、少し先の未来をぼんやり話して。そんな穏やかさが、なつめにとって…

初デート

 付き合い始めて最初の休日。ふたりは、水族館に向かっていた。 海沿いの大型施設。改札を出てからの道すがらも、なつめはずっと落ち着かなかった。何度もスマホを取り出してはしまい、肩のストラップを握る指が、いつもより少しだけぎこちない。「水族館、…

お祝い

「というわけで――改めまして、おふたりさん!」「「おめでとー!!」」 ぱんっ、と軽快なクラッカーの音が弾け、部室に一斉に拍手が広がった。紙コップのジュース、コンビニのお菓子、カラフルな紙吹雪。それらを囲むようにして、ゲームサークルのメンバー…

報告

 ある日のサークル活動後。 雑談と後片付けがほどよく混ざった穏やかな時間。そんな中で、夕凪未来と朝比奈なつめは、静かにひとつの覚悟を共有していた。「今日、言います?」 小さな声で、けれど確かに届く問いかけに、夕凪は短く頷いた。「はい。逃げず…

サークルルール:恋愛禁止(発案:代表)

 休日の夜。人気の少なくなった駅前通りを、未来と朝比奈なつめは並んで歩いていた。 カフェで軽く夕食を済ませた帰り道。手を繋いでいるわけでもなく、言葉を交わしているわけでもないのに、その距離はどこか親密で、どこか不安定だった。 ふたりの関係は…