二次創作

プロポーズ

「ただいま、しぃちゃん」「お帰り、須賀くん!」 黄昏時の資料館。いつも通りに資料のまとめをしていたシオリの耳にブロロロといった車の音が聞こえる。村の住民のほとんどは車を使うことはなく、すぐに誰が来たのか察したシオリは事務室から出た。コツコツ…

男同士の勝負

「ところで須賀くん、最近佐久間の様子はどうだ?」「佐久間さん、ですか?」「ああ。あの事件から少しはおとなしくなったと思ったんだが、表面上だけではないことを確認したくてな」「最近は資料館に来ても閉館時間には帰るようになりましたよ?」「そうか、…

ウェブデザイン

「ふぅ……」 凝った肩をぐりぐりと回しながら辺りを見渡す。ゆうに三時間超え。その間ずっと打ち込んだり調べたり。シオリは自分には無いと思っていた才能を資料館で開花させていた。 ウェブデザイン。シオリが作っていたのは資料館のウェブサイト作りと、…

通話

『あ、須賀くんだ! こんばんは!』「しぃちゃん、こんばんは」 電話越しに聞こえる声が懐かしいようにも思え、たった一言自分の名前を呼ばれるだけで胸が張り裂けそうなほどに嬉しい気持ちで溢れる。それでも平静を装い、こんばんはと挨拶をした須賀の背景…

十年後の約束

 霧雨が降る森の中、ことりおばけは成仏して、森番の必要は無くなった。須賀の声は戻り、そうして『これから』を考えることができるようになり、そうして悩むことになった。「しぃ、ちゃん」「なぁに、須賀くん?」 シオリと須賀がことりおばけとの約束をし…