追想の愛

追想の愛

 飾り付けた部屋にクリスマス仕様のベッド。お夕飯ごろまでお待ちくださいと先輩を部屋の外に無理やり出してしまってから数時間。できる限り飾り付けたと、額に浮かんだ汗をぬぐい息を吐く。キラキラ、キラキラ。クリスマスツリーに飾り付けられるオーナメン…

「きみともう一度話がしたい」

「藤丸立香。レイシフトから無事帰還しました」「よく来てくれたね、立香ちゃん。今回のレイシフトは」「シャルル=アンリ・サンソン、ですよね?」 セイレムの地から帰ってきた藤丸立香はさっそくと呼び出される。レイシフトの影響がないか身体のチェックを…

「もしも彼に、もう一度会えるなら」―リグレットメッセージ―

「……これで、いいよね」 藤丸立香はペンを握る手を緩め、今まで文字を書いていた紙を小さく折りたたむ。公会堂は薄暗い。そんな中でもわかるほどの大きさで書いた紙を眺め、それからその紙を小瓶へと入れて、コルクでできた蓋をぎゅっと押し付けた。手の中…

気づいてはいけない想い

 いつからだったのだろう。きっときっかけは小さなこと。興味を持ったきっかけは、狂化を受けてもなおあったその心。その言葉。想い。深く知ることになったのは、夢の中。そうして、向ける感情は。 ここまで考えて藤丸立香は考えを霧散させる。ダメだ、その…

恋とは一体何でしょう

「えっと、それでね?」「……先輩?」 カルデア廊下の曲がり角。その先からマシュの先輩こと藤丸立香の声が聞こえ、マシュはそちらへ向かおうとするも、ふと足を止める。曲がり角の先から聞こえる立香の声は上機嫌であり、いつも自分に話しかけてくれるより…