Novel

紫スミレ

「うふふふふ、そうよね」「そうね、本当に」 薔薇が咲き誇る庭に、白いテーブルと椅子。その椅子に座っているのは3人の婦人。いずれもこの庭を所有している主人の娘達であった。世間話をしつつ、時に笑い合いながら紅茶に口をつける。紅茶の中には砂糖漬け…

行列

 大量のフラッシュと共に花束を差し出される。それ卯を受け取ってお辞儀を深く行うと、さらにフラッシュが焚かれる。フラッシュの光によってかすみ草の影がちらほらと動く様を見て、私は昔懐かしい光景を思い出していた。 確か小学生の頃だっただろうか。今…

もがき生きるマスターへ(オベ→ぐだ)

しんしんと雪の降る中。もう限界だと、エネミーから逃げ切ったマスターは雪に身体をあおむけの状態で沈める。本来であったならば、そんなことをしたら凍傷の危険性もあることは分かっている。ただ、両足に怪我を負った状態で、腕に矢を受けた状態で。無理やり…

もふもふ

むにむにとモフモフと。体温なんて感じないと思ったけれど、そこは妖精だからなのか、温かく感じて、そのまま眠りに誘われる。ふあっ、と小さく出た欠伸にくすくすと笑い声が聞こえた気がしたけれど、重たい瞼は上がらずに、目を閉じた。「マスター?どこにい…

藤丸立香は最後を誰に願うのか(オベ+ぐだ)

「最後の時は、私を奈落へ連れて行って」 召喚をされ、その場で種火を摂取させられて。唖然とする中、さっそくと連れていかれたマスターの部屋での一言。最後の時という言葉に違和感を感じながら、真意を理解し、舌打ちをする。 妖精國で対峙した時にも見ら…

お茶会

頭の上にお花の幻覚が見える。藤丸立香はサンソンが幼女サーヴァント、もといナーサリちゃんやジャックちゃん、バニヤンちゃんと一緒にマドレーヌを食べているサンソンを眺めてそう感想を漏らしていた。それに笑い出しそうになりつつも、マスターもだいぶ疲れ…

エピローグ

「バーゲスト、もう大丈夫なの?」「ええ、ご心配をおかけしました」 目が覚めたら解剖をしようとする医者が目の前に。そんな状況から一週間。緋色の髪の主人は今日も丁寧に髪の毛を整えながら声をかけてくる。バーゲストは主人の言葉を肯定しながら、ヘアケ…