一緒に過ごせる、日常が

交じり合って、高めあい。そうして迎えた小さな死。それから清めた体に服を通し。一緒のベッドで身を寄せる。サンソンは立香の髪の毛をいたずらに手で梳かし、立香はそんな姿に目を細めながら幸せを享受していた。

「えへへ、シャルロ、ありがとう」

「どういたしまして」

「くすぐったいけど、こうやってしてもらえるの好きなんだ」

 それならばと、サンソンは立香にしていた腕枕を動かし、背中へと腕を回す形にして、距離を近づける。そうして抱きしめながら、改めて頭をなでながらおでこに口づけを落とした。

「僕も、リツカのことを抱きしめながら、こうして過ごすことが好きですよ?」

「本当に?良かった私だけで、無理をさせてしまっていたらどうしようかと思っていたんだけど、シャルロもそういってくれて嬉しいな」

 笑顔を向けてくる薄着の立香。それに邪な気持ちを浮かべそうになり、思わず咳払いでごまかす。そうしていると、そういえば、と立香が興味津々瞳を向けてきた。

「そういえばえっちの後の男の人って、女の人を見たくもないぐらい冷めちゃうって聞いたことがあるんだけど、本当なの?」

 確かに、世間一般的に言われる賢者タイムと呼ばれるそれをサンソンも理解はしていた。けれど、それはサンソンとしてはないにも等しいことで、あったとしても立香の前では出すことがないようにしようと決めていたものであった。

「それは、そういった男性もいるらしいですが、僕はあまり感じたことはありませんね」

「そっか、こうやって抱きしめてくれたりとか、いろいろしてくれるもんね」

「ええ、それに終わったら終わったで『もういい』なんて態度を取ってしまったら失礼でもあるでしょう?」

「確かに、そういう態度取られたら私も嫌だな」

「でしょう?それに」

 サンソンは立香を覗き込むようにして、それから一度口づける。立香がそのままその口づけを受け入れると、それは徐々に深くなり、立香自身の唾液が吸い上げられるほどに激しいものになる。

「ん、んん?!……んー!」

「……すいません。ですが、わかりますでしょうか?」

「なに、が?」

「僕がもし人間であったなら、もしかしたらリツカの言ったようになるかもしれませんが、こうやって口づけを交わすだけで、リツカとそれ以上をするだけで、魔力供給となるのですから」

「あっ……」

「すればするほど」

「体力は回復するし、元気になっちゃうのかな?」

「そうです。ですから僕がそう考えたりすることはない。不安には思わなくても大丈夫ですよ」

 むしろこうしてしまって、僕が負担をかけていないかの方が気になるのですが。耳元に口を寄せて、秘密を聞き出すように、囁くように。それに立香は微笑んで、サンソンを見る。

「えへへ、それは大丈夫だよ。たまに恥ずかしくて逃げちゃうこともあるけど、それでも、シャルロのこと好きだし、シャルロとのえっちも好きだから」

それに勿論えっちだけじゃなくてね、一緒に過ごせて、そんな日常が、幸せなんだ。

「っ……」

「だからね、って何言って……きゃっ!さ、サンソン?」

「今はシャルロと」

 こんなかわいらしいことを言ってくるのだから仕方がない。そう言い訳しながら、まずは自分が脱ぎ、それから立香が清めた後に着た寝間着を再度脱がし始めた。

「しゃ、シャルロ、まって、ダメだって!」

「どうしてですか?」

「どうしてって、もう、一回したでしょ?」

「ですが」  煽ったのは立香でしょう。事を終えて消えたはずの色が見える、いつもは冷静沈着なはずのサンソンの瞳。そのまま口を寄せられ、したいと耳を食まれる感覚。それらに立香は煽られ。そうして、仕方ないなと言いつつ立香はサンソンの背中に腕をまわしてサンソンを受け入れるのであった。