七日に一日だけ起きる少女

 温かな日差しの中、目を覚ます。ああ、今日も良い天気だ。そう思いつつ携帯のアラームを止めるために手を伸ばし、ため息をついた。
 火曜日。目を覚ますといつもそう表示されているカレンダー。私は一週間に一度しか目を覚ますことが出来ない体質であった。

「おはよう、瑞希」
「おはよう」
 高校の制服を着て、家を出る。パンをかじりながらなんて焦ったりはしないけれど、髪の毛を整える時間はそこまでなかったようで、髪が跳ねているぞだなんて幼馴染みに指摘されて、顔に熱が集まった。
「おまえ、今日の宿題はやったか?」
「宿題?」
「また忘れてんのかよ」
 一週間に一回しか起きれない私が普通に学校に通えている事も不思議であったが、宿題がでたり、それを解いて普通に生活できている事も不思議であった。でも、何故か出来ていて、自分自身も学校の授業に遅れたりしないで参加できている。
「なあ、……今、ちょっといいか?」
「うん。どうしたの?」
「あのさ、俺……お前のことがずっと好きだったんだ」
「え?」
 目の前の幼馴染みが私の方を見てそう言ってくる。冗談だと最初思った。こんな場所で、学校に行く途中で、そんなこと。
「ちなみに、これが七回目の告白、な?」
「七回目?」
「ああ。お前さ……気づいてないんだろうけど、一週間、ずっと学校にも来てるし、なじんでるけど、別人だったろ?」
「えっと……?」
「だから、ええと……分かりやすく言うと、多重人格ってやつ。で、多分お前が初期人格じゃないかって思ってるんだけど、どうだ?」
「どうだって言われても」
 私は一週間に一回しか目を覚ますことが出来ない。これがいつから始まったことなのかは覚えていないけれど、私が小学生の頃にはそうなっていたと思っていたのだった。