「今日は私が攻めるから、シャルロは動かないで欲しいな」
「分かり、ました」
夜も深まり、さらりと乾かされた髪に戯れに口づけを落とし、そのまま口と口を合わせ、押し倒そうとする。眉間に刻まれた皺と僅かな抵抗を感じてそれを止めると、そのまま椅子に座って欲しいといわれ、その通りにすると、後ろに回られて、目隠しをされた。
シャツとスラックスにスリッパを履いた裸足の足。今はその足にもビニールヒモが巻かれ、腕と胴体もそれぞれが椅子などに固定されている。おとなしくこの状態にされるがままになっていたこと自体、どうかしていると思いつつ、立香のことだから悪いようにはしないだろうと考えていたのがいけなかったのかもしれない。
立香が足と足の間に座り込んでいる。押し倒そうとしていたときに既に反応しかかっていた下半身に手を這わし、顔をよせてくる。こちらを刺激してくる以外に何をしているのかと、見えない視界の代わりに感覚をできる限り研ぎ澄ます。すると、スラックスの上から手指より広範囲を柔らかく探るような力を感じた。暫くそれはジッパーの上を動くと、目的のものを見つけたかのように、かちりと音を立てて挟むと、ボタンを外し、ジーっと音を立てて下げていく。ただその時、股間近くに寄せられている顔も一緒に下へ動いたことで、何をしているのかの想像がつき、つい声をかけてしまったのだった。
「リツカ、何を?」
「あ、ダメだよ動いちゃ。でも、ばれちゃったね」
くつろげられ、露出した下着の上からわざとらしくかけられる吐息を感じてしまい、それが想像ではなく、現実であったことを理解して、下半身に熱が集まる。それに気を良くしたかのように、立香は下着の上からペニスに口をつけてきた。
「んっ……、リツカ、やめ……はぁ、あ!」
「ふっ、ん、きもちぃ?」
ペロペロとなめるだけではなく、口に軽く含むように横へ向き、そのまま下着の上から上下に口で扱く。そんなアブノーマルな状況に、下着がグショグショに濡れて張り付いていて不快なはずなのに、興奮し、完全に勃たせてしまっている自分がいた。
「えへへ、きもち良かった?それとも、したことがないから興奮しちゃった?」
「っ……、り、つか」
何かしら声をかけなければと思ったところで、小さな、ただ場にそぐわないグチグチとした音が聴こえた。それに何だろうと気をとられていた間に、下着に手を入れられてペニスだけを露出された状態にされる。
展開についていけずに、リツカ?と再度呼び直したところで、彼女の気配を再び足の間に感じ、それから、ペニスに女性器へと挿れたような感覚を感じたのだった。
「?!……っ!」
「シャルロ、きもちいい?」
「ぇ、あ、……ぅあ?!」
挿れられて、そのまま上下に動かされる。まるで膣に挿れているのではないかという温度やひだの感覚、中の狭さに、自然と腰が快感を求めて動き出そうとする。が、足を縛っているビニールひもに邪魔されて、ギシギシと椅子が鳴るだけにおさまった。
「うん。こうやって見ているだけで、気持ちいいんだなって、何となく分かるな」
「は、ぁ……りつ、か」
「気持ち良すぎてそれしかいえない?もっときもち良くしてあげようか?」
一度止められていた手に力を軽く加えられ、中が締まったことで、声を漏らしそうになる。それでもしっかりと伝えないといけないと思ったことを、口にした。
「りつか、ぼくは……っ、りつかと、シたい、です」
「うーん、一回イっってからだったらいいよ?一回イったら代わりに何回でも付き合ってあげる」
ぐちゃぐちゃと動かされるそれに気を持っていかれそうになりながらも答えたが、立香には伝わらず。手を動かしたまま膝立ちになり、顔が近づいてきたような気配を感じると、そのまま深く口付けられる。
空いた片手でシャツのボタンを器用に外される。そのまま皮膚の上から肋骨を撫でられることにゾクゾクとしたものを感じさせられていたら、乳首をカリカリと、ただし痛くならない程度に刺激され、直接的な下半身の快楽と、口づけの快感、それから愛撫されてゾクゾクと背中を走る感覚に、何が何だか分からなくなる。
「ん、ぁ、は、あ……ぁ、っ!!」
「ひゃっ、ん……しゃ、る……ぉ」
もう理性もなにもかもが切れてしまったのか、それを表すように足を縛っていたビニールひもを力業で千切り、リツカの唇をそのまま貪るようにしながらも、腰を大きく振りたくり、精を放ったのだった。
「はぁ……はぁ……」
「んっ……いっぱい、出たね」
目隠しを外され、足以外の止められていた残りのビニールひもを解かれる。そうされながら、先程まで性器を包んでいたそれを見せられる。全くとんでもないものであったと思いながらも、ある程度服を整えて、ソレを立香の手から退けて、中身が溢れないようにベッドサイドのテーブルに置いた。
「さ、サンソン?」
「どうされました、リツカ?」
「も、もしかして、怒ってる?」
「いえ、そんなことは」
そのまま立香を軽く抱きしめて、ベッドにつれていき、押し倒す。
「ただ、何回でも付き合うと言ってくださったので、実際にしていただこうかと」 約束を反古にはしないですよね、と問いかければ、最中調子に乗っていた口はウイと呟いたのであった。
