ホールからの脱出
目を覚ました探索者は、目の前にいる女性以外、ホールの中にいた人がグールになって徘徊している姿を目にするだろう。1/1D6のSANチェックだ。
・パーティー中に人々に目星をしていた場合
起こしてくれた女性がホールにいなかったことが分かる。
●起こしてくれた女性について
名前をニエル=R=レップという。あてがわれた部屋で眠っていたところで爆発が起こり、下の階にいた人が無事かを確認しに来た。不思議な力があるダイヤを持っている。
●グールからの逃走
ニエルは、グールが音に反応知って襲ってくると探索者に話す。実際にホール内のものを投げるなど押して音を出すと、そこへグールが向かっていくのが分かるだろう。
・<目星> / 探索者の周りに対して
社長の首が切断された死体が近くにある。死体の棟ポケットが膨らんでおり、鍵が入っていることが分かる。
KP情報
社長を殺したのはカール。彼は社長がグールに変化しつつあるときに「殺してくれ」と頼まれて、殺害することとなる。また、所持している鍵はホールの鍵である。
以降は以下のイベントを挟んでホールの入り口の扉まで移動することとなる。全員がゴールをし、扉の鍵を閉めるか、閂を作るなどしてホールを封鎖するまで、グールとの遭遇ロールは続く。
【イベント:ホールからの脱出】
毎ラウンドDEXの数だけ前に進める。50進んだらホールの入り口につき、ゴールしたこととなる。DEX移動するたびにグールとの遭遇ロール(幸運ロール)を行い、失敗した場合にはPOW×5で音を立ててしまったかを判定。それにも失敗した場合、グール1d6体と戦闘になる。
毎ラウンド移動できるが、移動を放棄して<目星>などの技能を振ることもできる。
・<目星> / 部屋全体に対して
ロックのかかっていない携帯が落ちていることが分かる。ホールの奥にタイマー式で音が鳴るようにするなどをして投げることで、グールをおびき寄せることができる。設定する音量によっては、ミッションを必要としない通常の移動を可能とする。
下層へ向かい、白髪の男と出会う
B3に降りる途中で、B3を含めた船の全体図を入手することとなる。B3まで降りると、最初はエンジン室しか鍵のかかっていない部屋がないので、エンジン室を調べることとなる。
●B3 エンジン室
エンジン室では、ごうんごうんと奇妙な音が鳴っている。また、様々な機械があるが、素人目には何がどうなっているかわからないだろう。(船に関する知識があるものがいるならば、エンジンが正常に動いていることが分かる)
●エンジン室から出る
エンジンルームから出た瞬間に、奥の鍵のかかっていた鉄扉が吹き飛ぶ。吹き飛んだ先には、白髪の男が困ったような表情で立っている。
●白髪の男について
名前をカールという。苗字は言いたがらない。彼に話を聞くと、彼は船員であり、操舵室からホールへ向かう途中で爆発に巻き込まれたことが分かる。
吹き飛んできた鉄扉について聞くと、扉は自分が壊したという。ただし、どう壊したかについてははぐらかすだろう。「この世には知らなくてもいいことが沢山ある。それでも聞きたいですか?」などと言って。ここで探索者が聞きたいという選択肢をとった場合、彼はクトゥルフ神話技能を用いて、様々なことを語るだろう。0/1のSANチェックだ。
KP情報
この扉破壊は、ヨグソトースのこぶしを使ったなどではなく、カール自身の<こぶし>+DBで破壊したものとなっている。また、その反動として、左足に怪我を負っている。
・<目星> / カールに対して
手斧を隠し持っていることが分かる。また、左足がおかしな方向に曲がっている。
・<アイデア> / ホールで聞こえた男女の声について
男の声がカール、女の声がニエルだとわかる。
妹探しを頼まれ、探索へ
●妹探しの依頼 → 探索へ
カールは船から探索者を脱出させるのを手伝う代わりに、妹を探してほしいという依頼をする。協力を渋った場合も、渋らない場合も以下の情報などが手に入り、協力することになるだろう。
□この船の中の人間がグール化したのはウィルスのせいである。
□ウィルスは空気感染性だが、それをばら撒いているのはカールの妹である。
□この船はテロに巻き込まれ、妹がテロの実行犯に連れていかれた。
□妹を見つけてくれれば、カール自身で何とかする、と約束する。
●B3 実験室
実験器具や資料棚があるが、資料は何者かに持ち出されたのか全くない部屋。実験室の一部は檻のようになっており、その中にはベッドや本棚がある。本棚には子供服の雑誌や、物理学、心理学の本などが入っている。カールから、妹のユアがここで生活していたことを探索者は聞かされるだろう。
また、この部屋に入る扉は二つあるが、探索者が入ってきた反対側にある扉の入り口付近に大きな穴が開いており、船底や、その先の海が見える。ただし、浸水はしてこない。カールに訳を聞くと、自身の魔術(ナークティトの障壁の改変)で塞いでいると答える。
・<目星> / ベッドに対して
一冊の日記がある。
お兄ちゃんにこのノートを貰った。
お母さん、どうして死んじゃったの。
お父さんはお母さんが死んじゃってから仕事ばかりに打ち込んでいる。
お父さんが怖いお姉さんとお話していた。
綺麗な女の人だったけれど、なんでか、関わっちゃいけない気がするの。
実験、研究。
お母さんが亡くなってからお父さんは“永遠の命”に執着し始めている気がする。
何か嫌なことが起こらなきゃいいけど
XZ年12月31日
気が付いたら集中治療室のようなところに入っていた。生きているということに
半ば信じられない気持ちであたりを見渡すと、防護服に身を包んだお父さんがいた。
YX年1月21日
私は、去年起きた父の研究所の爆発に巻き込まれて亡くなったことになっているらしい。
けれどここに生きている。生かされている。私の体は食屍鬼(グール)という生き物に
なる菌のために生きているらしい。爆発に巻き込まれた私の体に付着した、父の研究物。
この菌の母体は宿主を見つけると、その宿主の周りの空気に広がり、他のものに感染していくという性質があるらしい。私に付着し、今私のものとなっている菌はその
母体。私が自由に出歩けば、周りに甚大な被害が出ると、隔離されている。
私自身がグールになることがないとは言え、一人は寂しい。
YX年1月15日
一緒に爆発に巻き込まれた兄だった人が、今日私のいる部屋に来た。その髪は艶が
あるものの老人のように白くなり、眼の下にもひどい隈がある。そんな兄は防護服を着ずに部屋に入ってきた。危ない、と思い、ちかよらないように言おうと思ったけれど、
兄の周りには何か空気の幕のようなものができており、触れることもできなかった。声は届く。兄は“ナークティトの障壁”を使って菌を寄せ付けないようにしているのだと言った。
YX年2月15日
あの日から私の時間は止まったまま。
私の居場所は船の中に、兄と一緒に移ることになったけれど、
私だけ一人、この閉鎖された檻の中で過ごしている。
来るのは兄だけ。
最低限生きていられるようにと整えられた部屋であったけれど、
まるで実験室のラットにでもなったような気分だ。
私も兄と同じように外に出たい。
『自由になりたい』
●B1 客室
客室は全部で40部屋ある。20部屋まではカードキー式のロックが、21から40まではケースロック式の鍵で開場するロックがかかっている。観察をすると、1の部屋は特に豪華なつくりになっていることが分かる。
カードキー式ロックになっている部屋は<鍵開け>などで開けることができないが、カールに頼むと破壊してくれる。(ただし、代償として、四肢の一つが破壊される)
①1の部屋 / 社長室
爆発の前に自分の部屋に言っていた場合、それよりも豪華な部屋が探索者を出迎える。部屋の中には、服やPC、名刺や日記がある。
・<コンピュータ> / どんなデータがあるか
乗客印名簿のデータがある。各客室ごとに誰が入室しているかの名簿で、1は社長、2は社長秘書、3はカールの部屋となっている。
この状態で<目星>を行うと、ニエルの名前がないことが分かる。
・名刺
「アルベル 弘人」とあり、確かにこの客室が社長の部屋であるとわかる。
・日記
XX年12月24日
ああ、なんということだ。どうしてなんだ。
なぜ妻が、アンネが自ら階段から落ちるなんてことを。
XY年6月24日(16年前)
妻が自ら命を絶ってから半年たった。妻が亡くなってから、娘は夜中に私の部屋に
やってきて、一緒に眠ること多くなった。息子は「自分がしっかりしなければ」と
でもいうように勉学に励んでおり、一度も泣いている姿を見せることも、甘えることも
なくなった。
……余命が決まっていなければ、命がなくなることがなければ、人間は幸せなんだろうか。
XY年7月4日
とある島を調査していた社員が原因不明の病気を発症。ウィルス自体は風邪の30~40%を占めるライノウイルスであったが、社で確認したところ、いくつかの変異が
認められ、また、そのウィルスを活性化させていると思われる別のウィルス……と
思われるものが発見された。
XY年10月16日
7月に発見されたウィルスを活性化させるものの研究を始めた。
現地を視察した時に見つけた資料のコピーを社員が取っていたようで、
そこに書かれていた病原菌と特徴が一致することから「活性病原体」と呼称することにする。
「活性病原体」の特徴は以下のとおりである。
1)ほかの病原体・ウィルスが近くに存在すると活性化。
他の病原体・ウィルスの毒性や感染力を強める。
2)感染力を強めた後の「活性病原体」は消滅してしまう。
XY年12月24日
妻が亡くなってから1年たった。
XY年12月30日
懇意にしている骨董商からの紹介で、スイスからの骨董商がやってきた。■が似合う肌の■■い美しい女性であった。彼女が商品として出していたものの多くはエジプト関連の骨董品やどの時代のものかわからないが、なぜか心惹かれるものが多かった
ように感じる。それは彼女自身の魅力なのか、それとも商品か醸し出している怪しさからなのだろうか。
XZ年4月16日(15年前)
去年の12月に来た骨董商が再び訪問。
悩んだ末にひとつの動物と思われる生き物の首の剥製を購入した。
骨董商の話には、1840年ごろに生きていた人間の首だと冗談交じりに行っていたけれど、どう見ても狼かそれに近い種類の生き物に見える。
秘書には「なんてものを買っているんですか」と言われてしまったけれど、骨董商が言っていた言葉が離れなかったのだ。
「永遠の命を持つはずだった生き物の首ですよ」
と。後々から本当に人間の首だったらと思い、調べることにした。
XZ年10月30日
研究は順調だ。製薬会社の社長が自分でよかったとこれほど思ったことはない。
骨董商から購入した頭蓋骨に付着していたいくつかの菌を「活性病原体」と一緒にし、
培養している。一部は死滅してしまったが、DNAに変化を与える病原菌が誕生した。
マウスに投与すると、その体は膨らみ、破裂し、不気味な生き物へと変化した。
これをもし人間に投与したら……。
XZ年12月24日
アンネは僕に恨みでも抱いていたのだろうか。
宝物を持ち去ってしまいたかったのだろうか。
……それとも僕の実験が間違ったことをしていると、教えてくれたのだろうか。
なぜ、息子と娘の命を奪ったのか
ZZ年X月YY日(最近の日記)
近くに私は殺されるかもしれない。
②2の部屋 / 秘書の部屋
社長室ほどではないものの、それなりに豪華な部屋であることが分かる。部屋には服類と一枚の写真が置いてあることが分かる。その写真は過去の社長一家の写真であり、社長と奥さん、黒髪の小学生ほどのカール、そしてカールと同い年ほどの妹が映っている。
③3の部屋 / カールの部屋
探索不可能。カールに止められる。部屋の中にはエイボンの書が置いてある。
④その他の部屋
特に情報はなし。それぞれの客の私物が置いてあるだろう。
