【FGO:オベぐだ♀】100本ノック1(21~30) - 1/10

21、にゃーん、と鳴いてみる

「にゃーん」

「か、かわいい!」

黒い毛並みに青い瞳。その瞳はどこか不機嫌そうで、いつもの彼を連想させられる。

いやぁ、実は絆レベルが特定以より上になっているサーヴァント達に霊基異常が怒ってしまってね。そんなことを言われたのは朝起きてすぐの緊急ミーティングのこと。サーヴァント達の姿をあまり見ないなと思っていたところに緊急アラートが鳴り、慌てて司令室に駆けつけると、白猫を抱いたダヴィンチちゃんが面白そうに目を細めつつ、こう口にしたのであった。

サーヴァント自身のスキルや攻撃に異常は見られないこと。けれども姿だけが何故か猫に変化してしまっていること。それは絆がより深まっているひとに現れたのだという。特にそれ以上の異常は見られないから、なるべく早く解決はしようと思うけれど、緊急で急に呼び出しちゃってごめんね。舌を軽く出したウィンクをするダヴィンチちゃんと、その横でジト目でそれを見つめる白猫。そういえばこの白猫は誰なんだろうと思っていると、その子はサンソンくんだよ、と言われたのだった。

「にゃぅ、にゃ、にゃーん」

「えへへ、本当に可愛いなあ」

「……ぅにゃう!」

自分の部屋に戻るといた黒猫。この子も誰かが変化した姿なのかな、と思いながら一歩近づくと、一歩後ろへと下がられる。猫の少し後ろには壁があり、それだったらともう一歩、さらに一歩と進める。果たして黒猫が自分の後ろの壁に気がついたのはそれから数歩歩いたときだ。少し長めの毛の生えた尻尾が、ごつんと壁に当たる。それと同時に黒猫に近づいたのだった。

「……」

「うわー、すごい睨んでくるね。でもかわいい」

なるべく優しく抱き寄せる。抱いたときに感じたのは森の香り。それも秋の実りのある季節のような香りであった。秋の森に縁のあるサーヴァントと言ってもすぐには思い浮かばず、考える。ロビンフッドは森で生きていたけれど、彼の髪の毛は綺麗な橙色。他にすぐに思いつくのは……そう考えて、ふと思い浮かんだ。

「……オベロン?」

「にゃーん」

そうだ、とでも言うように尊大な態度で胸に爪を立ててくる。痛いなあ。でも、かわいいなあ。

爪を立てられたままだけれど、そのままベッドにダイブする。今日はサーヴァント達の様子を観察するために、種火周回も何もかもが無い。それだったら少しぐらいこうやってゆっくりして良いのではないか。そう思っていると、それでいいんじゃないかとでも言うように、オベロンがもう一度鳴くのであった。