【FGO:オベぐだ♀】100本ノック1(41~50) - 8/10

48、運動をしよう

「いち……に……」

「何してるんだ?」

「みて、分からな、い?」

「分からないから聞いてるんだろ?」

座った体勢で足を真っ直ぐ伸ばし、その足に向かって手を伸ばしている。見ようによってはコの字になる練習でもしているのかと聞きたくなるが、おあいにく様。

立香からすれば長座大前屈で手を足にぴったりとくっつけようとしているのだが、オベロンからしたら、逆海老反りか、はたまた身体でコの字を作ろうちしているようにしか見えない……大変残念なことに、身体が硬すぎる状況を晒しているような状態であった。

勿論、聖杯の知識もあれば、妖精眼もあるのだから、多少の理解もオベロンはできているし、なんだったら丁寧な解説付きで長座大前屈と言う言葉の説明ができるほどに、頭に知識が詰め込まれ始めている。それを聖杯のクソ野郎と思いつつ、王様の振る舞いとしてよろしくないとも考えてすぐに打ち消し、考え、そうして。

「いったぁ?!」

「なんだよ、こうすれば伸びるだろ?」

「それは、そう……だけど、いたい! 痛いって!! ギブ、ギブ、ストップ!!」

折れる! 折れる! そんな言葉に、椅子にした立香からゆっくりと退く。まったくそんなんだとレイシフトでもしたときに死んでしまうかもしれないな? 身体が硬く、うまく動けなかったためにマスター死亡。そんな結末じゃあ、俺が立香を逃がした意味も無い。閉じ込めてしまうこともできたけれど。

退いて、それから立香を立ち上がらせるために右手を差し出す。手を払いのけられることを予想しつつ、にっこりと笑顔を添えることも、勿論忘れずに。

オベロンはこのとき予想いていなかった。まさか立香が自分に対して頭突きをしてこようとしているだなんて。まさか、まさか、そんなことまでして、自分と同じ『痛み』を味会わせようとするなんて。

 

後に立香を尋ねた哀れなサーヴァントが見た光景は、オベロンと立香がお互いの髪の毛をつかみ合って、まさに殴り合おうとしている姿だったとか。勿論本気ではないとオベロンは言うし、立香だって怪我をさせようとしているわけではなかったと言ったけれど、それでも。

サーヴァントと人間が喧嘩をするとは何事だと、新所長の雷が落ちたとかどうだとか。