【FGO:オベぐだ♀】100本ノック1(51~60) - 1/10

51、図書館での攻防

「…と、オベロンは思うのであった」

目の前でニヤニヤとする橙色の塊に怒りがこみ上げる。なんで俺はこんなやつに真っ正面から勝負を挑んで、真っ逆さまに奈落を落ち続けることになったのだろう。汚い手でも何でも使ってこいつを亡き者にすべきだったのではないか。カルデアの食堂から拝借した携帯食を持ち、それを睨み付けながら立香に近づいた。

『オベロンだったらきっとこの後、私を無理矢理押さえつけて頭をぐしゃぐしゃにするんだろうな』

『そうなったらやり返してやる』

そんな言葉が見える。それは目の前の彼女が思っていることだろうけれど、別に自分は読心術を持っているわけではない。千里眼を持っているわけでもないので、思わず目を瞬き……そうして、そういうことかよと必死に隠れているこの場所の主を呪う言葉を口にした。

そもそもどうしてオベロンがここまで怒っているのかといったら、図書館に入ったオベロンの心を唐突に立香が読むような真似をしてきたからであった。親切心なのかなんなのか、その日のオベロンの機嫌は珍しく良かった。それこそ、時間も忘れて図書館に篭もる主に食事を届けてもいいんじゃないかと思うほどに。けれどもそれは崩れる。気持ちをしっかりと読まれ、ニヤニヤとしながら食料を受け取るために手を差し出す立香を見た瞬間に。

目の前の橙は逃げる。また逃げる。オベロンは落ち着いて、頭の中で地図を思い出しながら追い詰める。そうして……。

「こちらは図書館ですよ。本を読んだり勉学に勤しむ。そうであったのでしたら問題はありませんが、それ以外でしたらここから立ち去るように」

「ちょっと、かおるっち厳しすぎない? もう少し緩くてもいいと思うんだけど?」

「~~っ! あなたも含めてですよ!」

逃げていたはずの図書館の館長の役割を務める紫式部に怒られ、たじたじとなりながら一人プラス二騎で図書館を後にすることになったのだった。