【FGO:オベぐだ♀】100本ノック1(91~100) - 9/10

99、好きって言ったら?

もし、もしもだ。好きっていったら君はどうするのだろうと考える。きっと君のことだから気持ちが悪いとか言うんじゃないかな。そんな事を考えながら、今日も君と周回に出る。種火を沢山集め、そしてフォウくんと戯れる。君は嫌そうな顔をしながらも、マスターの言うことだからと仕方なさそうに種火をかじるのだった。

「きみはさ、もうすこし自分に素直になった方が良いんじゃないかな?」

「私は十分素直に行動しているつもりだけど」

「君にとっての素直な行動って? もしかして、この間昼食にどっちのセットを頼むか考えてたことかな?」

「うん? それもそうだけど」

「それは当たり前の人間が考える、素直もクソも無いもんだろ」

頭湧いてんのかよ。そんなことを口にするオベロンにむっとする。喧嘩を売ってるなら買ってやるぞ。それか、本当に素直になってやるぞと口を開いた。

「それじゃあ素直になるけど、私は君のことが好き。これでどう?」

「うわっ、素直になって最初がそれかよ……よく俺にそんなこと言えるな」

気持ち悪いと身震いする動作をする。ああ、やっぱりそうか。きっと彼のことだからそんな動作をしてくると思っていた。予想通りだった。それでも、予想ができていても辛いな。言葉が続かず、暗い気持ちに押されるように地面を眺める。言わない方が良かった。後悔先に立たずと言うけれど、それだ。

うつむいているとカツカツと何かが鳴って、視界に青と黒が映る。それに顔を上げる前にぐっと頭を押されるように、髪をぐしゃぐしゃにするように頭を左手で撫でられる。少し痛いけれど、それでもやさしいようなその感覚に涙が溢れた。

「きみはさ、あれだ。自由なわけだろ?」

「うん……?」

「それだったら俺に構う必要は無いわけだ」

「それって」

サーヴァントは限定的な生のある生き物だ。それを私は分かっていた。そして勿論当のサーヴァントだって分かっている。オベロンはそれを言いたいのだろう。期限ある自分と一緒になったところで意味は無い、と。それでも私はオベロンのことが好きだから、顔を上げた。

「オベロン、私はそれでもね」

そう言ったところで、左手で口を押さえられる。モガモガと藻掻いて言葉を紡ごうとしても紡げない。どうすればこの思いを伝えられるだろう。そんな事を考えていると、こちらを睨むように見ていたオベロンが目を閉じ、手越しにキスを落としてきたのだった。