【FGO:サンぐだ♀】その味は

花なんか別に好きじゃなかった。そう言ったら悲しむだろうか。人理修復が完了して、最後の特異点を修復。そうして訪れた彼との別れ。最後にさようならを言いたかったのに身体は言うことを聞かず、起きたときには退去後。そして目の前には紫苑の花。「君を忘れない」だなんて無理なことだと思いつつ、その花はダヴィンチちゃんに頼んで、今読んでいる本の栞にしてもらった。
「先輩、確か先輩は炭酸、お好きでしたよね?」
どうぞ、と本を読み進めていると、マシュが声をかけてくる。最初に読みはじめてからもう数時間たっていたことから、心配させてしまったかなと顔をあげてそれを受けとった。
炭酸は薄い水色に色付けされた市販品。冷たさも相まって彼を思い起こさせるような色である。栞を挟んだものでさえ彼についての本であり、結局彼のことを引きずってしまっていると自覚して。
そうやって飲んだ炭酸の強いラムネは涙の味がした。