【FGO:サンぐだ♀】先生とぐだちゃんの100本ノック(1~10) - 10/10

10、もしかしたらの未来で
桜の花びらが舞う道を二人で歩く。隣には、今の季節には不釣り合いな黒のコートを着込んだ彼。もうすぐ春なんだからと出そうとした別のコートを拒み、僕が僕として歩んできたこの姿を見てもらいたいと、すっかり戦いの中でボロボロになっていた黒を基調としたコートを彼は選んでいたのだった。
「えっと、ここだよ」
「こちらが立香の」
桜並木が続いた後の少し細い道に入ると目の前に現れる墓地。そこに私の唯一の家族である母が眠っていた。人理修復が終わり、漂白された世界をもとに戻した後、私は一般人としても解いた世界へと返された。その時に数名のサーヴァント、私が聖杯を渡していたサーヴァント達が受肉をし、新たなる生を経て一緒に世界へとやってきていた。隣にいるサンソンもその一人であった。
サンソンと私は、墓地へとお花を供え、線香に火を灯し、手を合わせた。その左手の薬指には小さなダイヤの付いた指輪が光っている。しばらくし、二人で顔を上げる。シャルルも、そして私も、挨拶はすんだ。
「立香の母は認めてくれたのでしょうか?」
「さあ、それはお母さんのところ行ってみないとわからないし、ずっと後になっていってみたら『あんたにはまだ早いから帰りなさい』って言われちゃったりしてね」
「立香のことを思ってくれている、良い方ではありませんか」
「まあ、そうなのかもね。ちょっと過保護だったけど、私のことを一番に考えてくれてた。でも、それだったらきっと、シャルルとの結婚のことも認めてくれると思うんだよな」
だって、娘の幸せを願って過保護にしてくれてたぐらいなんだから、娘がこの人と幸せになりたい、一緒に生きていきたい、っていうのを拒んだら、それこそ娘が不幸になっちゃうでしょ。そう続け、私は右手を、彼の指輪が付いている左手へと伸ばした。