【FGO:サンぐだ♀】先生とぐだちゃんの100本ノック(1~10) - 9/10

9、日課
「マスターはこちらに?」
「ああ、それだったら奥の机で突っ伏しているが。なんだ、今日もまた運びに来たのか?」
ご苦労なことで。そういいたそうに肩をすくめるアンデルセンを横目にサンソンは立香のもとへと向かう。今日は確か、シュミレーションルームで模擬戦闘の後は、キャスターのクー・フーリンから魔術の指導。午後にはナイチンゲールから医術について学んでいたのだったと思いだす。忙しく日々をこなしているだけでなく、彼女は今この世界で生きているたった一人のマスターである。日々のストレスや、彼女自身の性格から、無理飲茶をしてでもそれを通そうとしてしまうところがあるのだろう。それが、こうして今サンソンの目の前で、本の山を枕によだれはかろうじで垂れていないが、ゆるんだ口をそのままに開けて眠っているマスターであった。
「マスター、起きてください。こんなところで寝ていては風邪をひいてしまいますよ」
もちろん風邪などひくような設備ではないし、作家人が暖炉へ、書き損じた原稿を次々と投げ入れていることから暖かさは保たれている。ただ、これでマスターが起きてくれれば、自力で起きて部屋へ帰ってくれるかもしれない。そうすれば翌朝地面に頭が埋まるのではないかという勢いで謝るマスターを見なくて済むと思うサンソンであった。
「ん…………んん…………
むにゃむにゃと、どこかに手を伸ばすようにした後、目の前にいたサンソンのコートに手を触れさせ、くいくいと引っ張る。と、そのまままた夢に落ちていく。サンソンはため息をつきつつ、彼女の手を払うことはせずに、器用に彼女を抱き上げ、部屋を出ると、目の前を横切ろうとする同じ出身の華やかな女性がいた。
「あら、サンソン。それに、マスターも。今日もお疲れなのね」
「ええ。もしよければマスターの部屋まで一緒に送ってくれないかい。一人だと扉を開けるのも大変で」
「もちろんいいわよ」
「ありがとう、マルガレータ」
「あらあら、いいのよ。じゃあ、行きましょう」
今日はシャルルの独り占めじゃなくて、マスターの寝顔が見れてうれしいわ。彼女はそんなことを言いながらもサンソンとマスターを先導したのだった。