【CoC:嵐レベ】甘い苦しさ

ぎゅっと抱きしめられる。触れられた素肌は熱く、夏の暑さなんて忘れてしまうぐらい、簡単に上書きされてしまうのではないかと思うほどに熱が篭もっていた。それは肌だけではなく、瞳にも。
どこかほの暗く感じるような、それでいてこちらの情欲まで駆り立てるような瞳で見つめてくる。怖い。ふと思ってしまった。けれど、それはこれから全てを晒さねばならないから。誰だって自分の全てを相手に晒して、預けて、どちらのものとも分からなくなってしまうだなんて事怖いに決まっていた。けれど、それでも……。
「あらし」
「れべっか?」
「私は、あらしのことが、好き」
「っ……!」
先ほどより強く、それこそ壊れてしまうのではないかと言うほどに抱きしめられる。苦しい。それでも、幸せだななんて矛盾した感情かふわふわと浮かぶ。俺も好き。そんな言葉と共に、嵐はそのまま名前の通り、荒々しく唇に噛みつくよう自身の唇を合わせてきた。
性行為なんてくだらないものだと思っていた。自分のことを嫌っていたときには、自分が生まれた原因だったこともあり、忌々しいものだと感じていた。けれど、日本に来て嵐と出会い、一緒に過ごすうちに愛されて、私も彼のことを大切に思うようになって、想いが通じ合った後にそういった行為に及んでみて、繰り返してみて、変わっていったのだった。
相変わらず私は自分のことが好きにはなれない。けれど、嵐が大切にしてくれている私という存在は大切にしたいと思える。それに、彼と一つになることに言葉に出来ないふわふわとした温かい気持ちに包まれるのだ。
「わたし、は……、あらし、も……同じきもちに、なる?」
「同じ気持ちって?」
「むねがぎゅってなるような……それでいて、あたたかいような」
「そんなの、レベッカと一緒にいるときはいつだってそうだぜ?」
「そっ……か」
何を今更、といったような表情を浮かべていたと思ったら、酷く甘えるようにのしかかってくる。重い。でも、それでも悪くはない。きっと嵐の方でも少し加減をしてくれているのだろう心地よい重さに、目を瞑って彼のその先を受け入れるように抱きしめるのであった。