アーラシュ
「はい！アーラシュ！」
かわいくラッピングされ、リボンの飾りがついたチョコ。スーパーロックオンチョコを周回帰りのアーラシュに立香は渡していた。
「お？これは……ああ、分かったぜ！あれだろ、俺のとっておきのために用意してくれたんだな？」
ありがとうな、マスター。そう言いながら受け取ろうとするアーラシュに頬を膨らませながら、立香はチョコレートを自分の方へと引っ込めた。
「ん？くれるんじゃなかったのか？」
「あ、あげたいけど、そうじゃなくて。戦力強化のためじゃなくて、アーラシュにね、渡したいって思ったの」
「ああ、そういうことか。それは悪かったな」
膨らませた頬はそのままに、真っ赤になっているマスターの顔を見れば、どんな意味で持ってきたのかはすぐに分かること。ついいつもの周回の癖で『戦力強化のために』と、渡してきたのだろうと推測した数秒前の自分を叱りつつ、改めてとチョコを受け取ったのだった。