【FGO】聖杯をあなたへ - 6/10

シャルロット・コルデー

「私は何度だって、貴方に心を奪われるのです。今の私が言うのだから、間違いありませんよ」
えへっ。そう言いながら笑顔を向けてくるコルデー
ちゃんに胸が熱くなる。
マイルームにて、彼女を中心とし、アトランティスで簡単に起こったことを話す。異聞帯での出会い、暴走、オデュッセウスと彼女の最後。オデュッセウスを殺すためだけの力と、全てを忘れ、それでもなお残ったもの。
「マスターは、お優しいのですね」
「うぅん、そんなことないよ」
そんなことはない。必死に駆け抜けてきた。救えるものを、拾えるものを拾おうとはした。救えなかったものもあった。拾えなかったものもあった。それでも、彼女には知る権利があると思ったから。全てを知っていてほしかったから。だから帰ってきてすぐに話したのだった。
「私のことを知っていて、思い込みで、向こう見ずに行動した私のことを知っていて。それでも召喚した日に私に人類史を守るお手伝いをさせてくださって。殺すことしか出来ない私に、守る力をくださって。マスターは優しいと思うのです」
「それは」
コルデーちゃんのことは、少しは知っていた。サンソンの資料を読んで、サンソンによって最後を迎えた彼女を知っていた。何を行って、その結果起こったことを。
「私は優しくなんかないよ。だって、最初はサンソンにとって思い入れのある人だってだけで、種火をあげてたりしたんだもん」
「それでも、ですよ」
「だって、私は、守れなかった。救えない。今は、自分を守るために壊すことしか出来ない。それがわかってても、前に進むしか出来ない」
「マスターは、後悔しているのですか?」
「ううん、後悔は、もしかしたらしているかもしれないけど、それでも、私は私の世界を守るために、みんなを守るために、前に進みたいと思ってる。だから、これを」
黄金の杯をコルデーちゃんに手渡す。観測機から導き出されるは、これが最後に渡せる聖杯。
「みんなにも、もしかしたらサンソンには見せられるかもしれないけど、こんな情けない姿、なかなか見せられないから。コルデーちゃんには、こんな姿の私でも、一緒にいて欲しいから」
「マスター」
「それから、コルデーちゃんも『私なんかのために』って言ってるけど、そんなことはないから。一緒にこれからも旅して欲しいし、サンソンとは別の意味だけれど、大切にはしたいから」
聖杯を受け取って、使ってください。そう、口に出したのだった。