【FGO】聖杯をあなたへ - 8/10

シュヴァリエ・デオン

「やあ、マスター。こちらでよかったかな?」
「うん、いつもありがとうね」
ふと眠れなくなるなるだろうと悟れる日がある。そんな日には作家の部屋を借りて、デオンを呼んで、一緒に焼きマシュマロを食べることが恒例となっており、今日はデオンがマシュマロを持ってきてくれていたのだった。
「それで、今日は何か別の用事もあるってことだたけれど、何かな?」
「うぐっ、いきなり来ますか」
「ああ、もし後のほうがいいのだったら、食べてからにしようと思うのだけれど」
「ううん、今がいいかな」
後になってしまったら、それこそ緊張してしまうと思い直し、ありがとうと伝える。デオンは、気にしないからと手を振ってくれた。
「えっと、今日呼んだのは、眠れなかったこともあるんだけれど、これを渡したかったからで」
「えっと、これって……聖杯、かな?」
「うん。まあ、聖杯といってもレベルアップにしか使えないものだけど、よかったらって」
手渡すと、深く何かを考えるようにしてから、問いかけてくる。
「マスターは、どうしてこれを私に?」
「それは、君に騎士としてもっと輝いてほしいから、かな?うまく言えないんだけれど、この間の特異点で、最後、一人で戦ってくれたでしょ?それを見て、聖杯をあげたいなって思って」
「ええと、私の戦いを見て、それで?」
「かっこいいなとか、あともう少し力があれば楽に勝たせてあげられるのに、とか考えたの」
我ながらあいまいな言葉になってしまったと思いつつ、デオンに対しては、こう思ってあげたとしかいいきれないとも思う。それでも、再度考えたデオンは受け取ってくれるのであった。